タイムス住宅新聞ウェブマガジン 再生ホテルから 国頭の魅力発信(国頭村)|オキナワンダーランド

2019.09.13
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大阪府出身のデザイナー、小山健一郎さんは、妻の故郷、国頭村の活性化に役立ちたいと廃業した老舗ホテルを再生。若い旅行者でも気軽に泊まれる宿「ヤンバルホステル」によみがえらせた。

 

「それはすばらしいアイデアだ」とは誰にも言われなかった。「会う人ほぼ全員に」やめておいた方がいいと止められた。「そう言われるたびに、むしろ僕の心の声は『やった方がいい』とつぶやいた。廃業したホテルをよみがえらせることにおもしろさしか感じませんでした」国頭村に今年開業した「YANBARU HOSTEL(ヤンバルホステル)」のオーナー、小山健一郎さんは挑戦する人だ。服飾業界で活躍していた20代、「空間デザイナーになりたい」という夢が芽生えてきっぱり退職。独学でデザインを学び、数年後には地元、大阪にデザイン事務所を立ち上げたこともある。「デザインの素人の僕がすぐにデザイナーになれたわけではありません。退職後に勤めた工務店では丸2年、ひたすら蛇口交換の仕事だけをした。でもその間に、デザイナーになった今に生きているいろんな経験を積ませてもらいました」「痛い目に遭うかもしれないと分かっていても挑戦する性分」だという小山さん。妻の故郷の国頭村に廃業した老舗ホテルがあることを知った時も、挑戦する意欲がむくむくと湧いた。

「村の夏祭りの会場で知り合った人に廃業したホテルの話を聞いて、その晩早速見に行きました。築40年を超える建物はさすがに傷んでいましたが、商店街の入り口という抜群の立地や村内最高層の4階建てという点に可能性を感じた。その場で改装のイメージが浮かびました」デザインをなりわいにする者として、いつかはホテルのデザインを手がけたいと思っていたところだった。泊まる、食べる、遊ぶ、などさまざまな活動の場であるホテルは、いわば住居とレストランと娯楽施設を一カ所にまとめたような場所。デザインのしどころが満載なのだ。

ホテルをデザインしたいと言っても、単におしゃれな宿をつくることに興味はなかった。古い宿をデザインの魔法で蘇生して、ある思いをかなえたかった。「村を盛り上げたかったんです。国頭村は自然が豊かで、人が優しくて、食べ物もおいしい。何もないようでいて、人が生きる上で必要なすべてがある。再生したホテルから村の魅力を日本全国に伝えたいと思いました」 村の活性化のために若者に多く滞在してもらいたいと、宿の形態は手頃な料金で泊まれるホステルにした。宿泊客の間で交流が生まれるよう、共同キッチンやコワーキング(協働)スペースなどの共用空間を充実させた。

同時に、昭和40年代に建った建物のビンテージな味わいを消さないように、元からある内装や備品を極力残すように努めた。「地域をおこすなら地域にあるものを活用しないと。かっこよくすることよりも、何のためにここをつくるかを考えました」小山さんは、ヤンバルホステルに泊まる人たちが、村の自然や人々とふれあう中で新しい価値観に出合うことを期待する。「本当のおしゃれは、新しい服を買うことではなくて、美しい海をただ眺めて過ごすことだと思う人が増えたら、国頭村はどこよりもおしゃれな場所になる」手つかずの自然と昔ながらの人情が残る国頭こそ“新しい”。再生させたヤンバルホステルから、小山さんはそんな声を発信していく。


ヤンバルホステルは宿泊施設の常識を変えるかもしれないと小山さんは考える。「宿は普通、人が多くいる場所につくるもの。しかしこの宿が成功すると、どこにつくっても、つくり方次第で宿は成功し得ることになります」

 

YANBARU HOSTEL
沖縄県国頭郡国頭村字辺土名1429番地
0980-41-2787
https://yanbaru-hostel.jp/


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