「スーツを買う人や見た人が、服の廃棄問題について考えるきっかけになれば」。かりゆしウエアを通じて社会問題を提起する活動が県内で始まっている。小山健一郎さん(35)は、廃棄予定のかりゆしウエアをつなぎ合わせてスーツを仕立てる。名付けて「OKINAWA SUITS」。意義や目的について聞いた。
大阪府出身で小学生の頃から、自身でジーンズにダメージや継ぎはぎを施すなどファッションリーダー的な存在だったという小山さん。20代は服飾業界で活躍。空間デザイン事務所も立ち上げた。国頭村出身の妻との結婚を機に沖縄へ移住。その後、たまたま服の廃棄問題を知り、興味を持った。「廃棄される予定のかりゆしウエアで、着てもらえる服を作れないか」と考え、スーツの製作に乗り出した。
小山さんは同村で宿泊施設「ヤンバルホステル」も営む。アドバイスをもらおうと県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長の宮里一郎さんを訪れた際に、宮里さんの父が携わったというかりゆしウエアの話を聞いた。「当時の方が、色やデザインにこだわっている。その良さを生かしたい」1着のスーツに要するのはかりゆしウエア約20枚分。商業施設に回収拠点となる店舗を構え、廃棄予定のウエアの提供を呼び掛けた。これまでに約3千枚が集まり100着程度のスーツが作られた。
小山さんは「売れなくても生産量を変えられないなどファッション業界にある固定観念を変えたい」と強調。「ファッションを通した持続可能な開発目標(SDGs)を沖縄から発信したい」と語った。(社会部・玉城日向子)